東京で取り組みが試験的に始まった初乗り410円タクシーは、実際のところどうなのでしょうか。利用者の声とドライバーの声に迫ります。

410円タクシー

この初乗り410円タクシーは、単に値下げというには厳しいものであります。というのも、 新運賃プランは初乗り距離を現行の2kmから約1km(1.059km)に縮め、運賃は730円から410円へ。そして、初乗り距離後、280mごとに90円加算されていた仕組みも見直され、237mごとに80円加算する設定となっていますので、およそ1.7kmまでの“ちょい乗り”は現行の730円タクシーより安くなる計算ですが、それを超えると今より高くなることがあります。

 そして、5kmまでは現行運賃プラス50円、6kmまでプラス90円、7kmまでプラス140円、10kmまでプラス190円、20kmまでプラス310円……と、もっともニーズの高い中距離乗車は値上がりすることになります。

ということもあり、東京ハイヤー・タクシー協会は〈値下げではなく、運賃の組み換えになる〉と説明。国交省が配っているチラシにも、〈目的地までの距離(約2km以上)によっては、現行の初乗り730円のタクシーのほうが安くなる場合もあります。あらかじめご了承ください〉とはっきり書かれています。

410円タクシー

実際に利用したお客様の声

「730円タクシーに乗ると、いつもワンメーターでは行けず、820円か910円はかかっていました。410円タクシーなら、せめてこれまでの初乗り料金ぐらいで着くかなと期待したのですが、結局変わらず。あまり安さは感じませんでした」

試験に参加した運転手の声

「やっぱりお客さんは料金には敏感です。運賃加算の距離が短くなり、メーターが上がるカチカチという音の間隔も少し早くなったことで、お客さんは現行タクシーと同じ金額で降ろしても、むしろ高くなったように感じるみたいで……。1000円程度の距離でも『あれ? いつもより高いな』と不満を漏らします」とのこと。

タクシー業界としてこの取り組み

短距離の買い物や病院通いなどで足がなく不自由している高齢者や、これまで初乗り運賃が高くて短距離のタクシー移動を控えていたようなビジネスマン、重い荷物を抱えて観光地から近所のホテルに移動する外国人など、新たな「ちょい乗り」顧客を獲得して全体のタクシー需要を高めたい思惑があります。

「初乗り運賃の短縮でタクシー会社や運転手の収入が極端に減らないよう、中距離以上の“上客”から多く徴収するような制度になっている」というわけです。

 

現場のタクシー運転手からは、こんな声も...

「新しい運賃になって街中を流すようになっても、朝晩の忙しい時間帯にシルバーカートを引いた老人や、突然の大雨でビニール傘を買うよりも安いと“傘代わり”に乗ってくるようなビジネスマンは、できることなら避けたいのがホンネ。 明らかにちょい乗り客だと思ったら、道端で手を挙げていても見て見ぬフリをするタクシーが増えるかもしれませんね。これは乗車拒否で絶対やってはいけないことなのですが……」とのこと。

利用者のターゲットを広げる、安いと満足してもらう、というようにタクシーの利用率を上げるための取り組みですが、試験が始まって少し経った今はまだ、いい効果は出ていないようです。今後どうなるのか目が離せません。

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